俺『高校入ってイケメンとバンド組む!!』と高校デビューを夢見て意気込んでいたが、後に違う形で舞台に立つことになる・・・

今から数年前、東北の女子高生がジャズをやる映画があったじゃん。超青春映画。
当時高校入りたてぐらいの俺はその映画にいたく感動したわけ。
で、映画みたいに実際にビッグバンドの部活を作ろうと思い立ったんだ。
まあ俺男だったんだけど。ついでに友達もいなかったんだけどw
中学の頃はさっぱり女の子にもモテず
それどころかひどい天然パーマのせいで「アフロ」だの
「スチールウール」だの「ソマリア」だの呼ばれていた俺。
そんな俺は受験勉強しながら、小生意気にも「高校リア充ライフ」を夢見ていたわけ。
高校に入ってイケメンとバンドを組む
→文化祭で全校生徒の前でライブ
→アフロ素敵!抱いて!
→そして伝説へ…
みたいな。ベッタベタ。
そんで超非現実的。まずイケメンじゃなかったし。
で、俺はそんな妄想のおかげもあって志望していた高校に入った。
中学を卒業するときに髪の毛はまっすぐにした。
でもオシャレとは無縁だった俺は、
ギャッツビーのヘアワックスを毎日これでもかと盛り込んで
結果的にボサボサのアフロみたいな髪型になってた。
いや、ギャッツビーのニオイがおっそろしくきつかったから前よりたちが悪かったかもしれん。
そんな高校デビューを明らかに失敗したアフロにリア充の友達なぞできるはずもなく
俺の妄想☆リア充ライフはいきなり霞と消えた。
ほんとにびっくりするぐらいあっさり妄想は掻き消えた。
それから待っていたのはサッカー部の仲良しイケメングループを横目でうらやみながら
購買で買ったひもQグミをむさぼりつつ
バンプだのラルクだののMDを聞いては妄想する日々…
正直「まあ現実はこんなもんか」とあきらめて
元のしがないアフロに戻ろうとしていた。
あの映画に出会ったのは、暇でキノコが生えそうな夏休みが終わったぐらいだったかな。
その映画を見た時いたく感動したのもそうだけど
俺は自分と映画の主人公を重ね合わせていた。
暇な毎日。だらだらと過ぎていく時間。あれほど夢見た高校時代。
俺の青春はこのまま終わるのか?本当にただのアフロなのか?
次の日から、俺は部活を作るための活動を始めた。
校則によると、部員三人以上と顧問の先生がいれば「同好会」を立ち上げられるらしい。
同好会は部費も出ないし、部室も与えられない。
が、まずは同好会設立に向けて動く事にした。
その時俺は「三人とかwwwww余裕じゃねwwww」
ぐらいにしか考えてなかったが、よく考えたら俺には友達がいなかった。
とりあえずメンバーを集めなきゃ!と思って、俺はチラシを作ったのね。
へったくそな絵と字で「ジャズバンドやろうぜ!」って書いたチラシ。
もう手作り感満載。全然魅力ない。
それをとりあえず校内の廊下とか小便器の上とかに貼ったんだけど
当然人はさっぱり集まらなかった。むしろアイタタな目で見られてたと思う。
「あたしピアノならちっちゃい頃習ってたから弾けるよ」
計画に行き詰まり、ふてくされてもぎもぎフルーツを食べていた。
そんな俺に声をかけてくれたのは、となりのクラスのMさんだった。
「え?」
「だから、ピアノならやってあげる」
「 ま じ で 」
「 ま じ で す 」
Mさんは髪が長めの、わりと静かでおとなしい女の子。
そこそこ可愛い。が、えらく天然。
まさかの天使の救いの手に、驚きすぎてもぎもぎフルーツ吹いた。
とっといたツタの部分はMさんにあげた。
そこから、俺とMさんでの活動が始まった。
Mさんは友達に声をかけまくってくれたようで、あっさりと三人目が見つかった。
三人目はメガネでショートヘアで、The優等生な女の子。めっちゃ勉強できそう。
聞くと、中学生時代に吹奏楽でドラム経験者らしい。
えらく無口な子で、俺はこの子とまともに会話した記憶がさっぱり無い。
どうやって意思疎通していたか自分で不思議。
とにかく、これで同好会設立の最低人数は集まった。
アフロと天然とメガネ。今思うとえらいメンツだな
となると、次は顧問を見つけなきゃならんかった。
「早速、手分けして教師に頼み込みに行こう!」
と、いきたいところだったがメガネ子は無口の上
「演奏するならドラムやるよ」ぐらいのスタンスだったため、除外。
俺とMさんでやることにしたが、実はMさんマックでオーダーする時ですら
緊張で「あー…えっと…ち、チィズバ-g…(フェードアウト)」
となってしまうぐらいの小心者だったために、事実上ほぼ俺一人で交渉することに。使えん。
とりあえず教員リストを手に入れ、手当たり次第に頼み込みに行く。
なんつーか、アポなしの営業マン状態。
とりあえず教員室に行って、頼む。断られたら、もう一回頼む。
コーヒー入れるぐらいのパシリも辞さない勢いで頼み込む。
で、やっぱり断られたらあきらめて、呪いの言葉をつぶやきつつ部屋を出る。
しばらく営業活動を続けてみたんだが、
やはりというかなんというか一向に顧問は見つからなかった。
顧問が見つからない理由は、まあいわずもがなだが
みんなめんどくさがっていたからだと思う。
だって部活の顧問って休日にも出勤しなきゃならん時もあるし
うちの学校は職員が少なめだったこともあり、
既に他の部活の顧問をやっている教員も少なくなかった。さらにもう一つ。
うちの学校にはなんと全国クラスの実力を持つ(らしい)
オーケストラ部と合唱部があって、
当然ながら防音設備のある音楽室はこの二つの部活で使われていた。
つまり、新しく音楽の部活を始めたところで場所が無い。
ほんで人数が増えるはずもない。
そりゃ、未来の無い部活の顧問なんてやってもしゃーないわな。
と、いった感じで、俺の「進め!電波少年」ばりのアポなし営業は
さっぱりうまくいかず連敗続きだった。
リストはみるみる×印で埋まり、いよいよ残ったのは一人。
これがだめだったら茶菓子持ってもっかい全員に頭下げに行くかな、ぐらいに思ってた。
さすがに最後の一人ということでMさんと二人で行く事に。
Mさんは「まだ可能性あるじゃん!あたしもいるし多分大丈夫でしょ」と強がっていたが
教員室に入るなり当社比で30%ほど小さくなり
ずっと俺のうしろで「ア―…」だの「ウムゥ…」だのと言っていた。使えん。
最後の一人は国語の先生で「古文について語らせると長い」と評判のおばちゃんだった。
俺が話をしている間、ずーっとむつかしい顔をしていたもんだから
俺は「あ、こりゃだめだな」と思っていた。
後半は「茶菓子ならやっぱ温泉まんじゅうとかかな」みたいなことを考えながら話してたと思う。
ひととおり話し終え、
「で、どうでしょう。お願いできませんかね」
「いいわよ」
俺→ ( ゚Д゚) (゚Д゚ ) ←
かくして、ジャズバンド同好会が立ち上がることになった。
後に先生に顧問をおkした理由を聞くと、
「あなたの持っていたリストが見えたの。バツがいっぱいついてたでしょ?」
「それで、この子達は本気で頑張りたいんだなって思って」
「生徒が頑張りたいことを諦めてほしくないからオッケーしちゃった」
だそうな。良い先生に巡り会ったと思う。
その後、生徒会の一存....じゃなかった、生徒会の承認も下り。
晴れて俺はジャズバンド同好会の会長となった。
承認が降りた当日の放課後、Mさんが下駄箱で待っていた。
「おう、どした」
「えへーじゃーん」
Mさんが出したのはケーキの箱。わざわざ駅前まで行って買ってきたらしい。
放課後の教室で、同好会立ち上げ式をした。
二人だけで、ケーキも2ピースしかなかったけど。
Mさんはなぜかろうそくまで買ってきてた。メガネ子は予備校に行ってた。
さて、同好会が立ち上がったのはいいがいかんせん3人。
3人じゃビッグバンドはさすがにできん。
と、いうことで俺たちは新入生に狙いを絞り、勧誘することにした。
うちの学校は入学式の翌日あたりに、体育館で部活動の紹介をする。
そこでクールな演奏を決めて、新入生をもうけようという魂胆。
さっそく練習をすることにした。
が、ここで思い出した!俺楽器弾けなかった...
さて、軽音楽部に入っていたものの、まったくもってまじめに練習していなかった俺。
入学前に意気揚々と買ったギターはすでに部屋の片隅でホコリを被っていた。
つーか、三人でジャズってできるのか?そこすら知らんかった。なんたる無謀。
とりあえず家でネット使って、ジャズのことを調べ始めた。
どうやらジャズの最小単位は「トリオ」という三人編成らしい。
で、一般的なのがピアノ、ベース、ドラムの「ピアノトリオ」
いける!早速俺は楽器屋でやっすいベースを買った。
もちろんエレキ。さらにいうとプレベ。救えない。
で、さらに近所のTSUTAYAで「ブルーノートジャズ100選!」
みたいなCDを借りて、その中からやりたい曲を探す事に。
さすがにこれは俺一人じゃ決められなくて、
Mさんとメガネ子に音源を回してみんなで決めることに。
ぶっちゃけ俺はジャズなんてさっぱり知らんかったし
どれがむつかしくてどれが簡単かなんてさーっぱりだった。
「あたしコレ好き!これやろう」
「お、そっか。メガネ子はどっすか」
「いいとおもうよ」(あ、会話してたわ)
ということで、一世一代の発表曲は「ビル•エヴァンス/枯葉」に決定。
これ知ってる人なら笑うところです。
なんでかってコレ、ジャズの中で1,2を争う超有名曲。
でもこのテイク、ベースが鬼のようにむつかしいんです。
例えるなら「曲中ずっとギターソロしてる感じのパートあるでしょ?これベース」みたいな。
ベース歴三日の俺は最初ベースの音をベースと認識しないで
「この曲ベースいなくねwwwwうはwwww俺やりたい放題wwww」
と思ってました。ごめんなさい。
そんな俺をみかねて、Mさんの救いの手。
「あたしの中学ジャズバンあったんだけど...楽譜もらってこようか」
ああMさん、君はなんていいこなんだ。
欲を言えばもうちょっと早くそれが知りたかった。
時期にして2月末、新入生歓迎ライブまであと一ヶ月強しかなかった。
そんなこんなで楽譜調達。しかしここでさらなる問題。
俺楽譜読めなかった。もうね、ここまでくるとMさんも失笑ですよ。
「おまえもうそこでグミ食ってろよ」と言われんばかりの冷笑。
帰りたかった。帰ってコーラグミ食いたかった。
で、信じられないけど、ここでまた転機が訪れることに。
「このチラシ作った人、知ってますか?」
いつものように教室外の廊下でぼさっとしてると、知らない女の子に声をかけられた。
ちっちゃくて八重歯が印象的。美人。
で、上履きの色(上履きのラインの色で学年がわかるよう)を見ると、三年生。
「あ、それ俺です」
「ほんとに?あの、Mさんって知ってる?」
「(俺の嫁です)知ってます...けど」
「私、Mさんと同じ中学で、ジャズやってたの」
「え?そりゃまた。あーびっくり」
「Mさん、いる?」
「あ、となりです」
先輩(仮名、みき)はこのチラシを見てくれて、
でも自分は先輩だし...っつことで今まで来づらくて黙ってたらしい。
が、Mさんが自分と同じ中学で
さらにちょいとした知り合いだったのを知って、わざわざ声をかけにきてくれた、と。
とりあえず、またもやMさんのおかげでなにやら俺は助かったらしい。
で、その先輩はなんとベーシスト!
ではなく、クラリネットだった。でも、相当上手い。
そんで経験者ということで、あのアホみたいにむつかしい「枯葉」をすっきりさっぱり
それでいてしっとりとした感じにアレンジした譜面をもって来てくれたのです。
でも、演奏当日はちょいと予定が合わず、出れないとのこと。
あ、先輩は一つ上でした。つまり二年生ね。ごめん。
そんなこんなでやっとこさまともに練習できるようになった俺たち。
学校から近い貸しスタジオに行って練習したり、公民館に行って練習したり...
とにかく、結構がんばった。
俺もいつの間にかベースがそこそこ弾けるようになった。
まあ所詮エレキベースだし音作りもだめだめで
なんかバキバキ言っててジャズというよりプログレだったけど。
でも、なんかこれ青春じゃね?いいんじゃね?みたいに思った。
Mさんは相変わらずふわふわしとった。
メガネ子も無口だけど、なんやかや楽しんでくれてたように思う。
で、いよいよ演奏会当日。
「ジャズは正装のイメージ」ということで、
前日に三人で買いに行ったネクタイ(ダイソー)をしめて、舞台裏にスタンバイ。
メガネ子はいつになくテンションが高かった。このときもちょっと喋った気がする。
心なしか声が震えていた。たぶん緊張してたんかな。
Mさんはもう見るも無惨なくらいに緊張していた。
しきりに「ウゥ...」だの「アァウ....」だのと口走っていた。最後のは嘘。
俺は俺で、緊張のあまり歯が鳴っていた。
情けない、と思って必タヒに噛み締めると、今度は肩が震えた。
「www震えてるよwww大丈夫?www」
「www」
Mさんのほうが緊張してるくせに、とは言えなかった。
と、おもむろにケータイを出すMさん。
「みき先輩からメール来たんだ」
みき先輩は前日にメールをくれていた。
「音楽は自分らが楽しんでこそ音楽、楽しめばきっとみんなにも伝わる」
「君らが今まで頑張ったのは知ってる。だから、落ち着いて」
「応援してます」
そんな感じだった気がする。ぶっちゃけ緊張でよく覚えてないけど。
けど、ちょっと泣きそうだった。まだ始まってないのに。
「じゃ、ジャズバンさん準備おねがいしやっす」
やっべぇ来ちゃったよ、うっひーなんて考えながらチューニングしてたのをよく覚えてる。
ライブ前、幕が上がる寸前って、なんというかこう
時間が圧縮されてるかんじというか、とにかく不思議なんです。
トランザムはいってる気がするんです。
で、幕開け。目の前にはざっと300人ぐらい。
照明がまぶしくて顔はよく見えなかったけど。
Mさんを見る。意外と落ち着いてる。なんか頼もしい。
メガネ子を見る。ちょっと笑ってた。あんたそっちのが可愛いよ。言うてる場合か。
正面にスタンドマイク。
...あ、そうだ 喋るんだった 忘れてた
「あ、あー。マイク入ってます?入ってますね」
「あ、ジャズバンド同好会です。まだできたばっかりで部員は三人しかいません」
「でも、楽しい部活にしたいです。興味がある方、一緒に部活作りましょう」
「あー、じゃあ曲やります。枯葉という曲です」
カウントが入る。やー始まっちゃったね。演奏は3分ちょいで終わった。
俺はもう後悔むんむん。はだしで逃げたい感じだった。
「Mちゃん、ほんとごめん、ベースでかすぎた」
「エ?ア、ああ、ごめん、ベース聞いてなかった」
自分の世界に入り込んでいたようです。舞台からハケ、外へ。
先生に遭遇するやいなや
「あんたベースでかすぎよwwwwww」
「ですよねwwwww」
やはりでかすぎたようです。そんなこんなで無事(?)演奏会終了。
後は説明会の告知して、チラシくばって....で、運命の部活説明会。
正直、この日に人がこないと、部として存続できない。
部活説明会は、なぜか本館の離れの和室でやることに。
で、Mちゃんはというと
「おー、和室!」
「ねえ、お茶とか出した方がいいのかな」
「あ、せんべい買ってこよう」
大はしゃぎ。使えん。ことごとく使えん。許す。
で、当日。俺は授業中に机の下でモンハンやってたのがバレて
モンハン奪回のため社会科の職員室まで行かなきゃならず遅刻するはめに。
ちくしょー、あのとき見つからなければきっとあのリオレウスは狩れていた。
世界史なぞ嫌いだ。爆発しろ。呪いの言葉をつぶやきつつ和室へ。
扉を開けると、Mちゃん。と、穏やかそうなカカシが。
カカシ?よく見るとMちゃんとキャッキャウフフしてるのは
カカシではなく、穏やかそうな男の子だった。細い。長い。
「あ、グミ。さっそく見学の子が」
「ども」
「あ、どーも。初めまして」
彼は後に我が部を代表するトランぺッターとなる。
そんでモテる。悔しいがモテる。ちくしょう。
結果を先に書いてしまうと、意外にも盛況しました。
Mちゃんは始終おかし食ってました。使えん。許す。
次に来たのが女の子三人組。
ちっこい。すべからくちっこい。で、うるさい。
一番小さい子は...狼と香辛料ってアニメのホロに似てた。で、一番元気。とにかく元気。
次に小さい子は、後に椎名林檎みたいな髪型になった。
こいつも元気。で、うるさい。そんで小生意気。
後に「グミさんまじねぇっすwwwwwキモいっすwwwwうはwww」などと発言するようになる。
もうひとりは比較的おとなしかった。そんで天然。
また天然が増えてしまった。が、黒い。言う事がたまに黒い。
なんか部員紹介でおわりそうだな。後は後々。
結論から言うと、全部で8人集まったと思う。男の子3人、女の子5人。
それに俺とMちゃん、メガネ子、みき先輩を合わせて計...12人?
これが、俺のビッグバンド部 実質上初代メンバーとなった。
さて、ここでビッグバンドについて補足。
普通ビッグバンドっつーと、大体17人ぐらい。
ペットが四本、トロンボーンが四本、サックスが五本。コレがブラス隊。
で、ドラムにベース、ピアノ、ギター。これがリズム隊。
(うろおぼえ。詳しい人いたら補足たのんます)
で、俺らはというと
トランペット 一本(初心者)
トロンボーン なし
サックス アルト二本
クラリネット
ギター 二人
ドラム 二人
ベース 一人
ピアノ 二人
グミ 一人
なんじゃこりゃこのメンバーでビッグバンドなぞ到底無理である。
こりゃ詰んだか?と頭を悩ませていると
「僕コレ好きなんですよ」
「なんじゃこりゃ。トーキョー...スカ...?」
カカシが持ってきた一枚のCD。これが俺らの活路となり、原点となった。
カカシ....できる。だが許さん。
カカシが持ってきたのは言わずもがな「東京スカパラダイスオーケストラ」
たぶんすんげー有名な人達である。
「これならできるんじゃない?各パートひとりずつだし」
みき先輩が乗ってくる。
確かに、ブラスのアンサンブルがキモとなる
ビッグバンドジャズを無理矢理やるより、いくらか現実的。
そして曲もなかなかかっこいい。
でも、俺はそもそもビッグバンドがやりたくて部活を立ち上げたわけだし
名前も一応「ジャズバンド」なのに、いきなりスカをやるのはどうかと....
「あたしこれ好き!やりたい」
「よしやろう」
かくして、俺たちは文化祭で発表するべく
スカというちょっと変わったジャンルの曲をやることとなった。
うちの学校、文化祭が早い。大体6月末とかに文化祭をやるんです。
つまり、多く見積もって二ヶ月。部員はほとんどみんな楽器素人。
あれ?これ本格的に映画じみてね?
でもこれは現実であって、あんなふうにドラマチックな展開なんてないわけで。
とにかく、練習するしかなかった。
俺は部長として、部員を引っ張ることになる。
楽器が弾けない部長。今考えるとすげーな
さて、これから文化祭まで練習するんですが
いかんせん練習なので面白い話もこれといってなく
代わりに人間関係の話をしようと思います
正直、大所帯のバンドだと人間関係はすごく色々あります
みんな何もなく仲良し放題、というわけにも行かなくなってくるのも、事実。
まず問題となったのは、他の音楽系の部活との確執。
うちの学校は前にも言ったようにわりと狭いです。
生徒も他の高校に比べると結構少ないかもしれん。
つまり、少ない頭数を部活で取り合うわけですね。
さらに、リア充はもちろん運動部に流れる。オタ層は、そういった部活に流れる。
となると、音楽系に流れてくるのは結構少ない。
で、普段だと大多数の女の子はオケか合唱に流れて
後は軽音とかアコースティックギターとかに各々入る。
男の子は大体アコギか軽音。そんなかんじ。
でもその年、大方の予想に反してうちのビッグバンドが
男子と女子をバランスよく取っちゃったわけ。
で、同好会ってゆるいから俺たちがゆるーく活動してるのを見て
他の厳しい部とかを辞めちゃったりする子もいたらしい。
そりゃ良くは思われんな。
そんな時、これはすごく個人的なことなんだが、少々許せないことが起きてしまった。
コレの真意はわからんし、話も俺視点でしか書けないけど、そのへんは勘弁。
最初の方に軽音楽に所属してる、っていったよね?
実は自分で部活を立ち上げてからも掛け持ちで軽音は続けてて、
一時期さっぱり弾いてなかったギターも引っ張り出して練習して
恐れ多くもヴォーカルギターとしてバンドを組んでたんだ。
中学の頃から夢見てた事もあって、バンド活動はすげー楽しかった。
ビッグバンドの方とはまた違う楽しさで
当時のバンドメンバーもみんないいやつで大好きだった。
だから、ビッグバンド部に入ってくれた後輩にも
軽音とかけもちするのをちょいとすすめてたりもした。
特にリズム隊は、音を出す環境が整ってる軽音と掛け持ちしたほうが思うように練習できるし。
で、そんなこんなでビッグバンドのリズム隊の一年生の子は結構な割合で軽音と掛け持ちしてた。
ちなみにリズム隊は
ホロ:ギター(軽音ではドラム、後にジャズバンでもドラムに)
林檎:ギター
黒子:ピアノ
やまだ:ドラム。キツネっぽい。わりとイケメンだが奥ゆかしい
□リ:ベース。私服がライトゴス□リでびっくりした。こいつも天然。
がいて、黒子以外全員が軽音と掛け持ちという有様。
ちょっと時系列が飛んじゃうけど、文化祭直前。
やまだがジャズバンド部を辞める意志を俺に告げた。
「えっ」
「うーん...ちょっと、やっぱり軽音の方がやりたいかなって」
「そっかーかけもちだとキツい?」
「正直、ちょっと」
「そか。残念だけど、しかたないかな」
「すいません。文化祭が終わったらにしますけど」
「そりゃそうだwwwwお前以外に誰があの曲叩くんだよwww」
「ですよねwwww」
「まあ、帰ってきたかったらいつでも来てね。待ってるから」
「うぃ」
そのときは、ほんとにただ単に予定がキツいんだと思ってた。
後日、俺は真相を人づてに聞く事になる。
やまだが部を辞めた真相。実は、軽音楽部のある子が
「え、ジャズバン?wwwやめたほうがいいよwwww」
と、新入生にあることないこと吹き込んでたらしい。
詳しい事は知らんが、本人としては軽いジョークだった、とのこと。
んだもんだら、周りの子もおもしろがって乗っちゃって、
新入生はそんなに何人もから言われたら「え、まじで」ってなるわな。
俺は個人的に軽音と仲良くやって行きたかったので
それだけでも結構ショックだったんだが....
その子、同じバンドの一番仲いい子だったのよね。
これはキタ。普段わりとぷらぷらしてて、温厚な方の俺もさすがにキタ。
「ちょいと」
「ん?w」(いっつもこんな感じで軽く笑ってる子だった)
「ジャズバンの件なんだけどもさ」
「あぁ...w最近頑張ってるねww」
(イラっ☆)
「聞いたよ、なんか変な噂流してない?」
「ああーw わるいわるいww あれジョークなんだわww」
「うーん。それで一人辞めちゃったの、知ってる?」
「えw マジで?w 本気にしちゃったんだ。わりぃwww」
「....(こいつだめだ)」
俺はいっその事殴れば良かったのかもしれない。
でも、できなかった。殴る気も起きんかった。
静かに家に帰ってから、仲間が一人減ったことを急に実感して、ちょっと泣いた。
なんか暗い話になってしまった。明るい話でもしようか。
なんだろう、最近Mちゃん成分が足りない気がするからMちゃんの話でもしようかね
結論、Mちゃんと俺は付き合ってました。Mちゃんはすごくいい子でした。
ちなみにイメージはちょっと前の宮崎あおいと山瀬まみを足して二で割った感じ。
で、時系列的には部ができる前、一年生の夏休み前に戻ります。
俺とMちゃんはたしかそのあたりでお互いに面識を持った気がする。
最初は「あーかわいい子がいるなあ」ぐらいにしか思ってなかったんだけど
軽音の友達を経由してちょっとだけ仲良くなったんだっけな。
その軽音の女の子とはバンドの趣味があったから、ちょいと仲良くなった。
で、俺はそのとき新学期二週間目にして早々に失恋。
それも「なんか最初から好きじゃなかったかも」とかいう
最高にハイレベルな振られ方をしていたく傷心だったのね。
で「誰かよいおなごはおらんかのう」と問い合わせたところ
帰ってきた答えがMちゃんだった。
ここだけ書くとえらいイケメンっぷりだが、
それは高校デビューした気でいた中二病患者ゆえの気の大きさと思って許して頂きたい。
実際すげえ痛かったと思う。
アフロが「女紹介してくれ」って。
「キューバ行ってこい」って返されかねん。
脱線したが、それからMちゃんと俺はささやかながらもメールを交換するようになった。
「ども。アドレスききました」
「どーも!ねえお母さんからなんて呼ばれてる?」
(この時点で既になんかおかしい)
「え?あー、普通に名前でとか....あとは兄弟いるからお兄ちゃん、とかかな?」
最初のメールがコレ。
そんでややお互いの人種にズレを感じながらも、
その暇さをいかんなく発揮して俺はちょくちょくメールを送るようになった。
で、Mちゃんもメールだと緊張しないらしくわりとフランクだった。
でも決して会話をしない。
となりのクラスだからわりと顔を合わせはするんだけど挨拶すらあんまりしない。
というか、目を逸らされる。すごい勢いで。
「メールだと仲良し」
「でも顔あわせてくれない」
「これはもしや....」
嫌われてる ピッ → こいつ....惚れたな
妄想全開のエセリア充にタヒ角は無かった
完膚なきまでに勘違いした俺を止める者はもはやいない
「こいつ...よくみたら可愛いじゃんw付き合ってもいいかなwww」
ということで俺は完全にMちゃんに惚れた
惚れられたと勘違いして、実は自分が惚れていた。
な、なにを言ってるかわからねーと思うが....よくあることである。
そんなこんなで俺は日々Mちゃんのことを考えていた。
Mちゃんはハデじゃなかったが、スタイルはなかなか良かった。
特に足が奇麗な子だった。そんでスカートが短かった。
で、季節はいつの間にやら夏休み直前。
学校帰りにファミチキを食いながら歩いていると、夏祭りのポスターが目に入った。
「夏祭り」
「デートに誘う」
「Mちゃん浴衣姿」
この間、0.3秒
俺はMちゃんを夏祭りに誘うことにした
「今度夏祭りがあるらしいね。知ってた?」(非常にわざとらしい)
「あ、ポスター貼ってあったね。いいよね夏祭り」
「でさ、良かったら一緒に行かない?」(非常にわかりやすい)
「うーん...まあ、いいよ」
(まあ....?)
「お、やった。じゃあ今週の土曜日に、駅で待ち合わせでいいかな?」
「おっけーお祭り久しぶりだから楽しみ!」
勝った。勝ち申した。
俺は当然のごとく布団の中で転げ回り、ガッツポーズと共に勝利を確信した。
ちなみにMちゃんはそのとき「ぶっちゃけめんどくさかった」と語る。
デート当日。
リア充になりきれない俺は当然人生で初デートな訳で
前の晩から考え抜いた、できる限り流行を押さえつつ
かつ気取りすぎない、自らのできるベストなファッションに身を包んで出陣した。
まあ全部ライトオンだったんだけど。
そして待ち合わせ場所。
しまった。待ち合わせをホームにしたのはいいが、いかんせん長い。遠い。
つかどこにいるやらわからん!人多い!
今考えたら至極当然だが、当時はそこまで気が回ってなかった。
と、背中になにやら感触が。
振り返ると、そこにはMちゃんがうつむいて「ア...エト-....ムゥ」と言っていた。
かわいらしい私服だった。浴衣じゃなくて俺はタヒぬほどがっかりした。
ともあれ夏祭りへ。が、お互いに緊張でさっぱど会話が続かん。
「人おおいねー」
「ウン」
「お、あれなんだろ」
「アー、ウン。エト....」
「.....」
「あ。かき氷」
「え?食べたい!どこ?」
食いつきどころがわからん
で、かき氷を食べることに。
沿道で駆け回る子供達を見ながら、Mちゃんは優しい顔をしていて
ちょっとだけ、本気でかわいいと思った。
で、そっからわりと雰囲気もくだけて
いつの間にやら日は落ち、お祭りもお開きムードに。
「今日はたのしかったねぇ」
「ほんと。来てよかったー」
「いきなり誘ってごめんね」
「ううん。暇だったし、かき氷おいしかったし!」
「かき氷好きだなwwww」
「.....」
「.....」
「.....ねえ、公園よってかない?」
「え?」(どきーん)
「私夜の公園好きなの」
もうね、あれ。心臓がタヒぬかと思った。
で、暗い中二人で学校付近の小さい公園へ
ええ、タヒぬほどテンパってました。
動揺しすぎて朝購入したブレスケアを直で噛む始末
口ん中超スースー 暑い時おすすめ
公園についてベンチに座る。
こう、なんつーか説明しづらいけどベンチの真ん中に手すりがついてるやつあるよね?
あれ手すりのせいでちょっと狭いの。そこに二人で座る。
超近い。ヤバい。近い。肩と肩が触れる。近いよおねえさん
「....ねえ」
「ん?」
「なんであたし誘ったの?」
「.....」(どきーん)
おもむろに手を握る。手ちっちぇえ。そんでやらかい。
息子が爆発しそうになった。そっからはあんまり覚えてない。
覚えてんのは背の高い街頭の明かりと、
それに照らされたでっかい滑り台と、あと目をつぶったMちゃんの顔。
初ちゅーでした。俺とMちゃんのなれそめはこんな感じかね。
ちなみに後で聞いたら、
「祭り行くまで実はそんなに好きじゃなかった」
「手を握られてびっくりした」らしい。泣いた。
とりあえず、部活の話を立ち上げる前から、俺とMちゃんは付き合っていました。
これを最初に書かなかったのは、
これ書いたらただのリア充の恋愛自慢スレになってしまいかねないから。
でも、俺とMちゃんが付き合っているってのはとりあえず話さないと
後々わかりづらくなってしまうために、書きました。
自慢っぽくなって気分を害されたらスマン。これは俺の力量不足だね。
で、部活を立ち上げました。
ここの話は、俺が個人的に振り返って今の自分の基盤になったというか
「人生の転機」だったと思って(言い過ぎかもしれんが)
もし自分のように鬱屈した人がいたりしたら、
ぜひ頑張ってもらいたいなと思って書きたかった。
文化祭に出る事になりました。やる曲は二曲。
東京スカパラダイスオーケストラの「銀河と迷路」「24hours to ska」という曲。
どっちも良い曲なんで興味が出た方はぜひ。
だがしかし、部員のほとんどが初心者。
それも音楽初心者。リズム感もへったくれもない。さてどうしたものか。
とりあえず練習しなきゃはじまらない、というわけだが練習しようにも部屋が無い。
前にも書いたが、うちには防音施設なんて音楽室しかないし、
かといって普通の教室で練習しようもんなら、筒抜けもいいとこ。
それで上手い演奏ならまだ我慢できるっつーもんだが....
うん。みんなしずかちゃんのバイオリンレベルだからね。
練習始めたとたんに苦情、移動、でまた練習、苦情....もはや難民
とりあえず俺の部長としての最初の仕事は、練習室の確保だった。
音楽系の部活に顔を出しては交渉してみたり、顧問に相談してみたり。
でもなかなか部屋は確保できず。
せっかく新入生も入ってくれたのに....なんてこったい。
ためしにわたパチとチロルチョコで交渉してみた。だめだった。あいつらはわかってない。
そんでもあきらめるわけにはいかんざき。
で、だめ元で「合唱部」に相談に行ってみる事に。
前述したけど、うちの学校合唱部はかなり強くて、父兄にも評判の部活である。
合唱部も当然文化祭で講演するわけで、
部屋なんて譲ってくれないと思って。実はあんまり交渉してなかった。
「すんません」
「はいーあら俺君」(合唱部の顧問。音楽の先生。美人。)
「ちょっと今練習室にこまってまして かくかくしかじか」
「あらあら。じゃあ一緒に使いましょう」
( ゚ Д゚)
俺は神に愛されてると思った。
やっと文化祭の練習がまともにできるようになったのは
もう五月も終わりかけたころだった。
このあたりが個人的に今でもすごく印象に残ってる。
毎日放課後に教室に集まって練習、うちの学校はある都合で17:00までしか練習できず
終わった後はみんなでだらだら雑談したり音楽教え合ったりしてた。
ある日は練習後にスタジオに行って練習。
スタジオ終わった後はみんなでマックによったり、駄菓子屋行ったり。
楽しかったなあ。毎日学校が楽しみだった気がする。
何より後輩がかわいい。ほんとにかわいい。いや、顔とかそういうことじゃなくてね。
後輩はみんなメキメキ上手くなった。
元々素質があったからかもしれんが、おれはみき先輩のおかげだと思ってる。
みき先輩は一人だけ三年生で、でもえらく親しみやすい人で
すぐ一年生と打ち解けていた。ハキハキした態度が印象的。
なんというか、正に姉貴のような存在だった。
で、さすが経験者というか、アドバイスがしっかりしてた。
相手のレベルに合わせて丁寧に教え、
できたらもうちょい踏み込んだことも教える。で、ダメだしもえらく的確。
あれ これ俺部長じゃなくていいんじゃね。
肝心の俺はというと、写真を撮ってた。
練習風景とか、雑談の感じとか、放課後の帰り道とか。
今思うと、ほんとに写真ばっかり撮ってた気がする。なんでだろう。
たぶん、俺の思いつきから始まった部が
実際に動いて成長して行くのが楽しくて仕方なかったんだな。
今でも、そのときの写真が入ってる昔のケータイは実家にとっといてある。
「先輩wwww写真やめてくださいよwwwwうぜえっすよwwww」
林檎てめーは黙ってろ
曲の話なんだが、これもみき先輩が俺たちの編成に合わせてアレンジをしてくれた。
ボーンがいないところをクラで補ったり、ギターが二人いたり
今考えるとえらく強引な気もするが、まあそこは仕方ない。
みき先輩は本当に上手だった。
小さい体と楽器で誰よりも大きい音を出せたし、
当然ソロ回しも圧巻。見事にボーンの穴を埋めていた。
これみき先輩いないと詰んでたな。
さて、ここでささやかな問題が起きた。
アルトサックス担当(予定)のクロくんに関してである。
彼は背が高く、そして硬派である。完全に体育会系。
最初和室で会ったときも、「ウッス。押忍」みたいな感じで
「こいつ絶対間違えて入ってきただろ」と思った。彼がなぜ(予定)なのか。
それは彼が持っていたサックスがあまりに年季物で、壊れていたからである。
そんで修理に出していた。が、これが一向に戻ってこない。
クロくんは見た目どおり、まったくの音楽初心者であった。
なのに、待てど暮らせど楽器が帰ってこない。楽器がなくちゃ練習できない。
クロくんが練習に参加できないまま、ついに本番二週間前を切った。
「クロくん、楽器戻ってこないね」
「あ、明日かえってきます」
「まじか!よかったよかった」
「あと二週間っすね」
「そうだねー(大丈夫か?)」
「うーん。まあ、なんとかなります」
「お、おう。頼りにしてるぜ」(どっからそんな自信が.....)
正直めっちゃ不安だった。が、クロくんは口だけで終わる男ではなかったのである。
楽器が帰ってきてからというもの、クロくんはその静かな闘志をサックスにぶつけた。
とにかく、すごい集中力だった。あれよあれよと上手くなるクロくん。
みき先輩のダメだしにも挫けない。むしろダメだしを素直に吸収して、自分の物にしていた。
まさに「日々成長」といった感じ。これだから体育会系は怖い。
「先輩」
「ん。どした」
「家で練習するために消音機買おうと思うんですが、どうっすかね」
「ええ!あれ高いよ!」
「でも、練習したいですし」
「まじめだね」
「ジャズ好きっすから」
なんだこいつ、と思いながらも、ちょっと嬉しかった。
ついに文化祭の前日となった。
最後の練習はみんなさすがに緊張しているのか、ピリピリとしたムードだった。
そんな中、穏やかな表情のみき先輩。
さすが場慣れしてるなー、と思っていると「みんな上手くなったなー」そう笑いながら言った。
俺たちはへたくそながらも、いつの間にやらだいぶまとまった演奏ができるようになっていた。
明日は文化祭。そんで、みき先輩は明日の演奏を最後に引退することになっていた。
文化祭の話。うちの文化祭は毎年意外と人がくる。
父兄の方々もそうだけど、うちの学校を目指してる中学生なんかも結構くる。
文化祭前日はたしか授業はほとんどなくて、
それぞれのクラスの出し物やなんかの準備に明け暮れる感じ。
どこの高校もそうなのかな。なんかこう、文化祭って前日の空気が独特じゃないか?
みんなのwktkが伝わってくる感じと、頑張って準備してきた文化祭が
後少しで終わってしまう感傷的な気分が入り混ざって。
で、うちの部活はまだ同好会だし何しろへたくそだもんで、
体育館のステージではなく音楽室を借りてステージにすることになった。
これに関しては、合唱部とオケ部の人らにすげーお世話になった。
もともと音楽室は毎年、合唱部とオケ部有志の発表で貸し切りだったんだが
今年はそれにジャズバンが混ぜてもらえることとなったわけです。
しかも「一緒にやらない?」っていう話が来たのがあっちからだったんだ。
「最近頑張ってるらしいね」
人に自分のしている事が認められるってのはいいもんだ。
で、文化祭当日。
「お客さんくるといいね」
「うーん。どうだろ」
音楽室は本館から離れていて、さらに四階建ての最上階。
ふらっと寄るには遠すぎるんですね
音楽室の前には、一週間前ぐらいからみんなで作った立て看板を置いた。
「グミジャズオーケストラ」(仮)
(少しだけネタバレすると、現在も実在する団体なので実名は伏せます)
みんなで考えたバンド名と、大きな蝶ネクタイをした黒猫を書いた看板。
ちなみに、できた看板をホロに持たせた写真があるんだが
不思議な事にホロの姿が一ミリも映らなかった。ホロ小さいよホロ
その日はライブの他にもMちゃん失踪未遂とか
俺が組んでたバンドの解散ライブとか色々あるんだが、割愛。
本番10分前。音楽室前の控え室は、意外と和やかなムードだったような記憶がある。
この日の衣装も「ジャズはやっぱ正装」ということでネクタイを締める事に。
Mちゃんは相変わらずうーうー唸っていた。
みき先輩は楽器の手入れをしていた気がする。
一年生の女の子は元気にしみチョコを食べながらはしゃいでいた。
「先輩wwwwチョコいりますか?wwww」
「おう ありがとう」
「あ、もうねーっすwwwwサーセンwwww」林檎貴様
一年生男子は精神統一中だった。各々が窓を向いて瞑想。おまえらどこまで体育会系だよ。
メガネ子は...たしか他の部活の発表やらなんやらで、ぎりぎりに合流した気がする。
俺は....俺は何してたっけかな。相変わらずグミでも食ってたような。
ただ「このメンバーで演奏するのは最後だな」と、思ったのは覚えている。
みんなの様子が印象的だったのも、それを噛み締めていたからかもしれん。
本番5分前。音楽室の重いドアを開けて、中に入る。
詳しくは覚えてないけど、そこそこの人数がいた気がする。
たしかオケ有志の演奏後で、人があらかたハケた後だった...っけな。
にしては多いな、ぐらい。
ジャズはセッティングがわりとめんどくさいので、さくっとセッティング開始。
機材は色んなとこから借りてきたり、家にあるオンボロを持ってきたりしたもの。
さて、あらかたセッティング終わったか、ぐらいで客席を見ると、
あれ なんか人増えてね?さっきより明らかに多い。
というか、入り口からずいずい人が入ってくる。
あれよあれよという間に、音楽室はいっぱいになった。
客層を見ると、父兄の方達をはじめ、同じ学校の人やら知らん制服の子やら。
果ては何人かの先生までいたような記憶がある。
知ってる人、知らん人がずらーっと。目の前に。
予想外の事態にちょっと戸惑う。が、顔は二やついていた。
俺緊張すると笑っちゃうんだよね。顔が。
「えー、あ、マイクはいってますか。入ってますね」
「あ、どうも。グミジャズオーケストラです」
「今日はお集りいただきありがとうございます」
にわかに静まる客席。緊張で声が震える。頭が白くなっていく。
「えー、僕らは今年できたばかりの団体で、ほとんど素人でした」
「が、ここまで二ヶ月間、楽しく頑張れたと思います」
「楽しんで聞いて行ってくれると嬉しいです」
あいかわらずMCがへたくそである。
最初の曲のカウントが始まってからは、やっぱりたいした事は覚えてない。
不思議と「この演奏で最後か」とはもう思わなかった。
なんて言えばいいんだろうなー
ライブやったことある人ならわかるかもしれんのですが
自分の視界がちょっと遠い存在になって、そのかわり感覚が研ぎ澄まされるというか。
目の前の世界とはちょっと遠いところで、みんなが音楽を共有している感覚というか....
とにかく、ライブはあっという間だった。
拍子抜けするぐらい、あっさり終わった。
さすがにドラマじゃないから、実際の演奏は神がかり的な演奏でした、なんてことはない。
後からもらったDVDの映像を見たら、ベースが相変わらずうるさくてへったくそで笑った。
ただ、終わった後の拍手が心地よかった。
そんでもって、バンドのみんなのニヤけた表情がすごく良かった。
終わった後はみんなで写真を撮った。
人のいなくなった音楽室前で、それぞれの楽器を持って。
写真を撮ったら、急に力が抜けてしまって、なぜかえらく笑えてきた。
Mちゃんも同じだったようで顔を見合わせて笑った。
さみしいはずなのに、そんなことはそのときちっとも思わなかった。
ただ、今までの楽しいことが逆流してきた様に、ずーっとクスクス笑っていた。
さて、文化祭が終わり、みき先輩が事実上引退する事になった。
そんでもって、やまだとメガネ子も部を去ることになった。
短い間だったが、初代グミジャズはとりあえずここで一段落を迎えるわけである。
みき先輩は文化祭が終わった日の夜
部で作っていたHPの掲示板に一人一人に向けたメッセージを残していた。
長かったので文全体は覚えていない。
でも、部員一人一人について本当に丁寧に、メッセージが残っていた。
確か俺には「本当に責任感にあふれた、良いリーダーでした」と書いてあった気がする。
最後に、
「最初はどうなるかと思ったし、正直こんなにいいバンドになるとは思ってませんでした」
「きみたちの努力は全部見ていたし、だから私も頑張ろうと思いました」
「きみたちはまだ駆け出したばっかりで、全然小さくて不安な事もあると思います」
「でも君たちなら絶対に大丈夫。私が保証します。君たちはすごい!」
「だから、ゆっくりでいいから、これからもみんなで前に進んで行ってください」
「いままでありがとう。すごく楽しかったです」
記憶があやふやだけど、確かこんな風に書いてあった。
良い先輩を持ったと思う。今も心から思う。
合唱祭について。うちの学校はわりと文化系のイベントが多い。
「合唱祭」はそのイベントの中でも一番でかい。
公立のコンサートホールを貸し切ってやる。今考えるとすげぇな。
で、クラスでそれぞれ曲を練習して発表、さらに順位もつけるという鬼畜っぷり。
「もう男子ちゃんとやってよっ!」と泣き出す女子がいる、アレである。
こっちはちゃんとやってるつもりなのにね。泣かれると困るよね。
で、合唱祭には「有志の部」がある。読んで字のごとく、有志の出し物。
弾き語りやら、クラシック四重奏やら、毎年色々出る。
夏休みを野球の応援で暑く過ごした僕ら。
そろそろまたジャズやんべか、と動き出すことにした。
あ、そうそう。二学期が始まったあたりで新しく部員が増えた。
待望のトロンボーン。しかも経験者。やっほい。
彼女は一年生で、前からなんとなーく興味はあったらしい。
で、文化祭の演奏を見て、入ってくれることになった。
彼女はすごい。何がすごいって多才。
まずダンスがすげー上手かった。たしか全国クラス。
っつーことでダンス部(同好会だっけな)もかけもちしてた。
そんでさらに生徒会役員。偉い。権力もってる。
トロンボーンを吹く姿が非常に絵になる子だった。
彼女の加入で、うちのバンドの活動はすごく広がったように感じる。
ということで早速選曲会議をすることとなった。
とはいえ、まだまだ素人に毛が生えただけの俺たち。
ジャズのスタンダードなんてさっぱり知らなかった。
あーだこーだ言いながら、会議は難航した。
「先輩」
「うん?」
「ピンクパンサーって可愛くないですか」
そう言ったのはクロくんだった。
「ああ、いいよねあれ」
「あれやりましょうよ。たしかこないだ借りたCDに入ってたし」
「あー、あれ有名だし、いいね。でもあれソロじゃない?」
「俺が吹きます。吹かせてください」
あ、アツい...アツい男だ。クロ。
つーわけで、難航した曲会議もようやく終わった。
結局やることになったのは以下の曲。
「ピンクパンサーのテーマ」(クロくんソロ)
「CARA VAN」(このへんあやふや。もしかしたら、文化祭でやってたかも)
「24 hours to ska」(使い回し)
うーん、記憶が曖昧だ。
ちなみにホロが「これやりたいです」って出してくれた「くちばしにチェリー」は、断念した。
結局この後もやることはないんだが....やりたかったなあ。
で、ここでお約束のごとく問題点が浮上。これ読み返してみたら問題点ばっかりだな。
文化祭はいわゆる「アンプラグド」なイベントで、つまり電気を使う楽器が使えない。
=アンプを使うエレキギター、ベースはアウト
え?これ無理ゲーじゃね?ギターはアコギがあるからともかくとしてベース。
これつまり普通のジャズで使うような「ウッドベース」を使わなきゃならんというわけだ。
当然俺は未経験。つか、楽器持ってないし。さてどうしようかな。
実際、ホールで完全にアンプラグドでビッグバンドなんて
到底ベース音なんか聞こえないし、色々無謀なんだが...
当時そんなこと知らなかったし、まあ素人のやることだと思って目をつぶっていただきたい。
とりあえず、ベースはオケから使っていないものを借りることができた。
しかしこのウッドベースというもの、色々と取り扱いがめんどくさい。
特に、寝かせ方を間違えると内部の「コンチュウ」が倒れてしまって、だめになるらしい。
最初聞いた時「なんでこの人らは楽器の中で虫なんか飼ってるんだろう」と思った。本気で思った。
で、ここから俺とウッドベースとの闘いが始まるんだが、
よく考えたら「指がクソ痛かった」ぐらいしか書く事が無いので割愛。
問題はクロくんである。
彼はピンクパンサーのテーマをソロでやりきるつもりだった。
聞いた事ある人はわかると思うけど、あれかっこいいけど意外とむつかしい。
そんでもってクロくんは楽器歴良くて四ヶ月の完璧なまでのビギナーである。
そんな彼が全校生徒の前で一曲ソロ。はっきりいって無茶だ。
でも彼は、俺の想像しているより遥かに、アツかった。
あれが若さというものか、と今になってもちょっと感心する。
彼は、ほんとにびっくりするぐらい毎日練習した。
来る日も来る日も、同じフレーズを毎日毎日....
そんでもって、仲間の言う事にすごく素直だった。
あれはこうしたほうがいい、ここはそっちのがいい、
素人のなんとなくふわっとしたアドバイスも、真摯に受け止めていた。
彼の人柄がなせる技だと思う。
クロ君はいつのまにか、みんなの信頼を得る奴になっていた。
クロ君がソロを吹く事に文句を言う奴は、一人もいなかった。
そんで本番。ちなみに俺はピンクパンサーはドラムとして出演した。
ベースは□リ。楽譜が無かったんで全部耳コピしていた。
完成度もなかなか。この子、実はすごい。
大ホールで、三年生を除くほぼ全校生徒の前での演奏。
いやはや、俺の妄想もスケールがでかくなったもんだ。照明がまぶしい。
前も書いたけど、ステージの上って照明がまぶしすぎて客席がよく見えないのよ。
だから余計に緊張しちゃったりってのはよくある話だと思う。
今回、カウントは俺が入れた。ドラムだしね。
重めのシンバルレガートと、ピアノとベースの前奏。
と、ここでクロ君が舞台袖から登場。
彼の頭にはピンクの獣耳。そんでしっぽ。ええ、彼の希望です
結果から言うと、彼は見事に吹ききった。堂々とした演奏だった。
なんでコスプレを希望したかは知らん。
彼はこの後、技術的にも、また人望としても部を引っ張って行く存在となる。
彼にこの事を話すと、
「いや、俺はなんつーか、リーダーじゃなくてヒーローになりたかったっす」
と言った。面白い男だと思う。
最後に書くのは、俺の一番でかい野望の話。「あの映画」の再現である。
元々、俺が何をしたかったかというと
「あの映画みたいに、仲間と一緒に青春がしたい!」ということである。
あの映画は最後、観客の目の前で渾身のライブをして終わる。
俺の活動の最後も、あんな終わり方にしたかった。
気がついたら、二年生も終わりに近づいていた。
俺は、「自分らで企画して、ライブを作ろう」と目論んだ。
季節はたしか一月。
俺は、設立一年目で自主企画ライブという大きな目標に向けて動き出した。
まず、どういった目的でやるか。
少し厚かましいかもしれんが、俺は自分で作ったこの部活に「伝統」を残したかった。
後々まで続く企画にしたい。ということで、
ライブの名目は「グミジャズオーケストラ 第一回定期演奏会」とすることとした。
さらにもう一つ。俺はやっぱり、設立当初のメンバーにすごく思い入れがあった。
色々あって形は変わってしまったけど、できることならもう一度、同じメンバーで演奏したかった。
特に、みき先輩。彼女は三年生で、この冬で学校を卒業するわけだ。やるなら今しかない。
俺はライブを三月末に設定することにした。
いわゆる「卒業ライブ」である。「追いコン」とも言うね。そんで内容。
俺はどうしても、いわゆる「スゥイングジャズ」がライブでやりたかった。
それこそが俺の原点で、言っちゃえばグミジャズの原点でもあったから。
でも、あれなんですよ。
やっぱりビッグバンドのスウィングをするには、うちのバンドは絶望的に人数が足りなかった。
どうするか、しばらく考えていた。が、思いつかない。
メンバーをむりやり集めたところで、うまくいく気がしなかったし。
かといって、各パート一人でビッグバンドはさすがに無理がある。
人手....ヒトデ....ジャズの心得のある人....
おや そういえば、たしかあの映画って実在のバンドを元にしてるんだよな
つまり、他にもジャズをやってる高校生がいるっつーこと
今まで全然考えてなかったけど、もしかして近くの高校にもビッグバンドってあるんじゃないか?
さっそくインターネットで検索してみる。便利な世の中ですね。
すると、少なくはあるけどやっぱり高校生のジャズバンドはあった。
で、さらに。なんと近々、全国の学生ビッグバンドを集めた大会があるらしい。
正確な日程は覚えてないが、俺たちはその大会を「見学」するために都内某所へ向かった。
寒いコンクリの道を、みんなではしゃぎながら歩いた記憶がある。
大会は高校生だけじゃなくて中学生とか、すごいとこは小学生のバンドとかもあった。
で、うまい。もう比べ物にならない。正に「あの映画」の世界である。
いや、実際映画のキャストの演奏より全然上手かったんだけどさ。
「なんか、あれにくらべたら私たちのやってることなんておままごとだね」とMちゃんは言った。
俺は感動もしたが、やっぱりちょっとへこんだ。
レベルの違いを見せつけられた(というか、勝手に見た)俺たちは、
なんとなくしゅんとしながら母校へ帰ることになった。
が、しかし感動したのも事実。あんな演奏ができたら、どんなに楽しいだろう。
そんなことを考えていたら、俺は思いついてしまった。
それからしばらくして。俺は、一人東京にいた。
見慣れない道を辿って、冬の寒空の下、歩いて行く。
俺はあれからあの大会に出ていた高校に連絡をとって
練習を見学させてもらうことにしたのだった。
目的はいくつかあった。ひとつは、練習のノウハウを学ぶ事。
どんなジャンルの部活にも共通すると思うが、
先代から受け継がれてきた練習のノウハウが部を作ると言っても過言では無いと思う。
うちにはそれがこれっぽっちもなかった。いや、そりゃそうなんだけど。
おまけに経験者も少ないもんだから、練習は全部手探り。
もうなにが正しいのかもさっぱりわからないままに練習していたのだ。
もう一つ。というか、これがメインなんだけど。
仲良くなって、うちのライブに出てもらう事。
つまり、ライブのゲストとして
この人達をまるまるうちの学校に呼んでしまおう!と、つまりはそういうことである。
このグミ、なんたる無謀。
なぜ「足りないメンバーのヘルプとして出てもらう」ではないのか?
なぜならこの時、俺の考えは前とは少し違う方向にシフトしていた。
おれはずっと「ビッグバンド楽しそうだからやりたい!混ざりたい!」と思っていた。
それが何よりの動機だったし、モチベーションだった。
でも、あのライブを見た時にそれは崩れた。
本物の演奏を見てしまって、俺には到底たどり着けない場所がある事を痛感したんだ。
だからこそ思うことがあった。
「ビッグバンドの凄さ、楽しさを、俺の周りの人に伝えたい」
悩んだ末、俺はこう考えるようになったんだ。だからこその「ゲスト」だった。
自分の企画したライブでこの人達にゲストライブをしてもらう。
そんでジャズの素晴らしさを、ジャズの感動を、お客さんとか自分の友達とか、
何よりグミジャズの部員に感じて欲しかったんだ。
まあ、そういうことで他校をゲストに呼ぶこととなりました。ぶっちゃけ、超大御所。
でも、あちらの方はみんな良い人で
なーんも知らない俺を暖かく迎えてくれました。であと色々教わりました。
ベイシーを知ったのもその人達の影響だったなー。
でもって、なんと向こうの方の御厚意で、
うちの部員何人かを交えてビッグバンドを編成してくれることに。これはさすがに考えてなかった。
で、確か林檎とボーンの彼女とピンクを連れて行った気がする。
今思うと本当にお世話になったもんだ。
さて、自己企画ということで、プログラムやら何やらを
全部自分らで決めにゃならんかったわけです。
まず問題だったのがお客さん。
開催日が終業式ちょっと後になってしまったもんで、
父兄の方は良いとして、他の生徒やらがちょっと来づらい。
そんでもって地域の方にもアピールしたい。
集客の戦術を考えねばならんかったのです。
とりあえず、客寄せのため「フリードリンク」
「音楽ギフト券¥5000分プレゼント抽選」とか、色々催す事に。
で、本題は曲決めになった。
この段階になると、部員のみんなも各々好きな曲ができてた。
実力的にやれる曲も増えて、なかなか面白い選曲になったと思う。
個人的に印象的なのが、林檎がやりたいと言い出した「Take 5」。
知らない人に軽く説明すると、5拍子のしぶーい曲。
これを、林檎のエレキギターとボン子のトロンボーンをメインに編曲すると。
正直すげーかっこよかった。で、すげードラムむずかった。
で、曲が決まってからはまた練習の日々。
正直このあたりは、みんな鬱々としてた。
原因は色々だったが、やっぱり「ゲスト」の存在が結構負担になってたところがあると思う。
実は、ゲストの話はほぼ俺が勝手にすすめた話で、みんなにはあんまり相談してなかった。
確かに、超上手い人達の前で、ジャズかどうかもあやしい発表をするのは...
気が進まないというか、ぶっちゃけすごく嫌だったに違いない。みんなごめん。
正直に言うと、俺はかなり好き勝手なリーダーだった。
すぐ思いつきで行動するし。ワンマン運営そのもの。
しかも、まったく経験の無い素人が手探りで指揮をとってるから質がわるい。
おそらくみんな、俺の方針にはうんざりしていたことだろうと思う。
もっといいリーダーだったら、もっと楽しい部活になっていたんじゃないか?
部員を振り回してしまった事は、今でもたまに思い出して、ちょっと後悔する。
そんでもって、一番謝りたいのはMちゃんに対して。
元々小心者だったMちゃん。
俺が困っていた時に、いつも救いの手を差し伸べてくれたMちゃん。
なのに俺は、Mちゃんですら振り回してしまったように思う。
本番前のピリピリした練習では、つい怒ってしまったことがあった。
Mちゃんはそれをすごく気にして、次の日、寝ずに練習してきたこともあった。
Mちゃんがいたからできた部活。
それを俺はいつの間にか、自分が作った部活だと
勘違いしていたのかもしれない。と、今になって思う。
話は変わって。クロくんが、バンドを組んだ。
ドラムにホロ、ギターに林檎、そしてベースに新部員。
新部員は男の子で、これでもかという草食男子だった。もうすげー穏やか。超優しい。
クロくんは前々からバンドを組む野望を持っていたらしく、
ついにこのたび、グミジャズからのスピンオフとして念願のインストバンドを設立した。
お披露目のデビュー戦は、定期コンサートとなる。これについてはまた後述。
さてさて、もう書く事がほとんど無くなって参りました。
話はついに定期コンサート前日となります。
前日は会場設営と、ゲストバンドとの合同リハ。
会場は体育科のすげー怖い先生に無理を言って
屋内運動情(卓球場になってた)を使わせてもらうことに。
そこにステージに使う教壇やら、客席代わりの机と椅子(教室にある物)やら
軽音から借りてきた機材やら、野球部から借りてきた照明やらを運び込む。
もうえらい大変。だって女の子ばっかりだし、人数少ないし。
さらに卓球場は三階。で、階段。腕がやばい。
会場設営は大変だったけど、楽しかった。なんだか文化祭を思い出してわくわくした。
みんなもしみチョコ食ったり、卓球したりしながら
だらだら設営して飾り付けして....という感じ。
俺はあいかわらずぷっちょ食べながら写真撮ってた。
そうこうしている間に、ゲスト校さんが到着。
なんと雨の中、楽器ごと運んできてくれた。
いやもうほんと申し訳ない。今謝らせてくれ。本当にありがとうございます。
ほんでもってリハして、向こうの団体のPAさんと打ち合わせして....
そうこうしている間に、前日は終わった。
このときも、PA機材借りてきたはいいけど使い方わかんなかったり
後で聞いたら往復の交通費がすごいことになってたり、
林檎にしみチョコもらえなかったり色々あったけど、割愛。
第一回定期コンサート当日。朝から雨だった。
あー、こりゃお客さん少ないだろうな、と少々がっかりしたことを覚えている。
学校に向かう時、確かMちゃんに会った。向かう道で何を話したかは覚えていない。
でも、不思議と緊張してなかった。なんでだろう。
学校到着。他の部員もちらほら来ていた。で、しばし談笑。
黒子(ピアノの一年生ね)はなぜか猫耳をつけていた。
「なんで猫耳かと」
「似合ってませんか...?」
「いや、そういうわけでは」
「ならいいじゃないですか」
いや、いいんだけどさ。
ちなみに、バレンタインに部員から義理チョコをもらった(分けてもらった)時
黒子はオレンジピールのはいったチョコを作ってきていた。
「大人の味です」
すんげー苦かった。でも笑顔で食べた。
その日もやまだは手伝いに来てくれていた。
前日はあまりに人が足りなさすぎて、
「ごめんちょっときてマジで」と半ば強引に手伝わせてしまったんだけど。
ライブにもでないのに、わざわざ来てくれるやまだは
やっぱりいいやつである。あと笑顔がかわいい。
ホロと□リ、林檎は相変わらず仲良く騒いでいた。
この三人は軽音でバンドも組んでいて、普段から常に仲良しだったように思う。
ちなみにそのバンド、みんなめっちゃ小さい。ミニモニもびっくりぐらい小さい。
なんだかんだ俺はこの三人を凄く信頼していた。というか、頼りにしていた。
バンドが急がしくても、こっちの練習にもちゃんと参加してくれていたし、なにより上手かった。
「先輩wwwwぷっちょくださいよぷっちょwwww」
「うるせえ しみチョコとこうかんだ」
「うわーwww最悪wwww後輩の女の子に優しくないwwww」うるせー林檎が
カカシはくちびるのウォーミングアップをしていた。
こいつはつくづく真面目である。超ストイック。
カカシはトランペットのハイトーン(っていうのかな。高い音)をよく練習していた。
それはスカパラとかそういうジャンルをばしばしやらせてたからなんだけど。
でも、なかなか出なくて苦労していた。出るようになると、
「ちょっと高い音でるようになったんですよ」と、嬉しそうに報告してくる。
ピンクは相変わらず、林檎あたりにいじられて笑っていた。
こいつは生粋のいじられ役というか、いじられるとすごく輝く。
でもどんなにいじられようと決して期限を崩さず、一緒に笑っていた。
「音が細い」とずっと言われ続けて来たピンク。
比較対象がクロくんだったので、いささか不運というか
ちょっとかわいそうではあったのだが、
丁寧に吹くピンクの繊細な音は、俺は嫌いじゃなかった。
トロ子(ボン子だとなんか可愛くないから却下)は、
みんなの様子を穏やかな笑顔で観察していた。
トロ子はいやに落ち着いた子だった。
大人びている、というのが正しい表現なのかはちょっとわからない。
というか、トロ子は本当にいつ休んでいたのだろう。
俺が覚えてる限りでも、相当色んな事をやっていた。
常に予定が埋まっていた印象がある。でも、しっかりグミジャズにも顔を出していた。
うーん。不思議。
これでおそらくほぼ全員について触れられたはず。
そんでその日は卒業ライブということで、ひさびさにみき先輩が来た。
みき先輩は、たしか卒業旅行とかで当日ぎりぎりに参加することになっていた...はず。
その前に練習はちょろっとしてたんだけどね。
会場に来たみき先輩の手には、大量に刷られた紙が。
なんとプログラムを作って来てくれたらしい。
プログラムの中には部員全員の名前と、簡単なキャッチコピーみたいなものが書いてあった。
何でも、卒業旅行から帰って来たその日の晩に作って、印刷して来たらしい。すごい。
そんなこんなでついに役者は揃い、いよいよ俺たちの集大成となる
「グミジャズ 定期コンサート」が始まろうとしていた。
思えば遠くへ来たもんだ。
草食くん忘れてた。
草食くんはMちゃんと一緒に、みき先輩のプログラムを畳んで本にする作業をしていた。ずーっと。
草食くんはその代のグミジャズメンバーとしては、
ほんとに最後の方に入ってきた。しかもほぼ素人で。
でも、ほわーんとしているくせにセンスは抜群だった。そんで努力家だった。
「一応、グミさんが俺のベースの師匠ですから」と後に言われた気がする。
「一応」が気になるがまあいいとしよう
雨のせいか、お客さんはやはり少なかった。少し残念だが仕方が無い。
照明が落とされる。俺たちは、ステージ裏で静かに円陣を組んだ。
このメンバーでの演奏は、正真正銘これが最後。
俺はMCマイクの前に立って、いよいよ定期コンサートが始まった。
オープニング一発目は、クロくんのバンドだった。
「ふぅーじこちゃーん!」
クロくんが叫ぶ。会場の失笑を裂くように、イントロが流れる。
「ルパン三世のテーマ」だ。
奴らはこの日のため、「ルパン三世のテーマ」を
なんとオリジナルで爆音ジャズにアレンジしていた。
クロくんは頭を振り乱しながら、つんざくようなアルトサックスソロを熱演した。
曲が終わり、拍手と共にざわつく会場。
そりゃそうだ。まさかビッグバンドジャズのライブに来て、一発目の曲がコレだとは。
ぶっちゃけた話、第一部としてこの後に続くのは
少人数で編成されたバンドでのしっとりした演奏がメインだったので完全に空気は読めてなかった。
が、クロくんのやりとげた表情をみたら、どうでもよくなった。
第一回 グミジャズライブは、三部構成となっていた。
第一部が少人数でのバンド。
第二部がゲストバンド。
そして第三部が、グミジャズオリジナルメンバーでの演奏である。
一部では各バンドで衣装を決めたり、曲と曲の間に小芝居を入れて
ストーリー性を持たせたりと、色んな工夫をしてみた。
怪盗ピンクパンサーを追う黒スーツのトロ子。曲はTake 5。
片足をアタッシュケースにかけながら演奏するボーンソロは、さすがの渋さ。
林檎のギターも心地よい歪みだった。一部が終わり、二部へ。ゲストバンドの演奏が始まった。
ゲストを呼んで演奏してもらう、というのは
もしかしたら、やっぱり俺のエゴだったのかもしれない。
変な言い方をすれば、お客さんは俺たちのへたくそな演奏を見に来てくれているわけだし。
でも、本格的なビッグバンドを自分が企画したライブで聞けたというのは、やはりなんだか嬉しかった。
うちの部員が混ざって演奏している姿を見て、ニヤけてしまったのもまた事実。
俺の現役生活で、最大のわがままを叶えてもらった瞬間だった。
ゲストのハイクオリティな演奏が終わり、
ついにライブは残すところ最後の第三部のみとなった。
第三部、俺の目論みは二つあった。
まず一つ目。
「やっぱりジャズは正装!」ということで。
はい。またネクタイです。三たびダイソー。
みんなでネクタイを持ち寄って、つける。なんかこう、ある種儀式みたいになってた。
これたしか今でもやってるらしい。もっといいコスチュームあると思うよ、俺。
そんで二つ目。みき先輩を泣かせること。
みき先輩は文化祭が終わって引退するときも、笑っていた。
みき先輩らしいといえばらしい。でも面白くないじゃない!
部活の引退、卒業、こういう時に泣くのが青春ってもんでしょう!
俺たちは密かに、ある計画を進めていた。
そしてそれは、コンサートの最後で明かされることとなる。
コンサートは進み、アンコールを含めていよいよあと二曲となった。
最後の二曲。俺たちがバンドとして一番最初にやった、スカパラの二曲である。
コンサートの名目上最後の曲「24 hours to ska」
これは一番最初に文化祭でやる時、みき先輩がスゥイング風にアレンジしてくれた曲である。
演奏している途中、ふと、文化祭練習に使ったスタジオの風景が思い浮かんで、
なんだか不思議な感情がこみ上げて来てあやうく俺が泣くところだった。あぶないあぶない。
ピアノソロはMちゃん。
Mちゃんの目はいつものように泳いではいなかった。唸ってもなかった。
演奏が終わる。拍手。
軽い挨拶をすませて、俺らは鳴り止まない拍手に答える準備を始めた。
泣いても笑っても、あと残り一曲である。
最後の一曲は「銀河と迷路」
名残惜しさも曲の流れを止める事はできず刻、一刻と終わりは近づいてくる。
残すところあと、みき先輩のソロとMちゃんのソロ、そして大サビだけだ。
みき先輩のクラリネットは、その日も心地よく、力強い音色だった。
流れるようなソロが終わる。今だ僕らは計画を実行した。
みき先輩渾身のソロが終わっても、曲は展開しなかった。
ソロを担当する人間がいないまま続く伴奏。
みき先輩が一瞬、戸惑いの表情を見せる。その時。
「ここで、今年卒業してしまうみき先輩にプレゼントがありまーす」
裏でスタンバイしていた□リが、MCをする。
それを合図に、裏から黒子が表れる。手には色紙と、こぢんまりとした花束。
「先輩、今まで本当にありがとうございました」
先輩は笑っていた。暗かったしベースから遠かったので、涙を流したかはわからなかった。
でも、クラリネットの音が震えていた気がした。
拍手が止んで、帰るお客さんにあらかた挨拶をした後、俺は力が抜けて壁にもたれた。
ひとつのことが終わった気がした。
その後ステージの上で写真を撮った。ゲストの人達もみんなで。良い写真だった。
ゲストの人を見送って、地獄の片付けを済ませた後は、
誰かのおかあさまが差し入れてくれたゼリーをみんなで食べた記憶がある。
みんな疲れきっていたが、表情は明るかった。
と、ずっとライブに付き合ってくれていた顧問の先生がぽんと封筒を俺に渡した。
「がんばったからご褒美。みんなで何か食べて来なさい」
先生、さすがです。みんなで先生を崇めながら、ライブの日は無事、終わった。
正直言って、悩む事やら部員とのすれちがいやら色々あったが、
「まあ、楽しかったしどうでもいいか」と言えるライブだったように思う。
ふと、あの映画を夢見て悶々としていた頃を思い出した。
俺はどうやってここまで来たんだっけか
しばらく考えたが、めんどくさくなったのでやめた。
で、今さらになって考え直した結果、色々と青春だったことを思い出してここに書いているわけです。
Mちゃん関係えらい多いなwwww
Mちゃんとは結局、4年間ぐらい付き合ったのかな?
でもあっちが大学進学のとき地元を離れちゃって、やっぱり距離には負けてしまい別れる事に。
でも、今でもわりと仲はいいです。あれだけ一緒に頑張ったからね。
恋愛感情を抜きにしたら、親友というかそんな感じになりました。
Mちゃん失踪未遂に関しては時系列もあやしいし、正直詳細は覚えてないんだよねwww
覚えてるのは、なんだったかでケンカして、Mちゃんが公園でずっと泣いてたこと。
ケンカは珍しかったから印象に残ってるんだけどね。
今日一日家にいる事が決定しかけているので、蛇足だが後日談を書こうと思う。
今年の春、久々に母校に行ってきた。文化祭だ。
俺は高校卒業後都内の大学に進学。
通える距離ではあったが、親に無理を言って一人暮らしをさせてもらっていた。
一方、Mちゃんは遠くの大学に進学した。
さっきも書いたけど、俺たちは四年間付き合ったものの
遠距離ということもあって別れてしまっていた。
「高校の文化祭、行く?」
六月に入ったあたりで、Mちゃんから再び連絡が来た。
「あー、そんな時期か」
「暇だったら一緒に行かない?一人だと寂しいし。痛いし」
「おーおー。いこういこう」
Mちゃんとは別れた現在も仲の良い友達だ。お互いに、よき理解者だと思っている。
そんなわけで、二人で文化祭を見に行くこととなった。
卒業してからグミジャズにはあまり顔を出してなかったし、良い機会だと思って。
グミジャズは例の定期演奏会の後、順調に発展して行った。
その年の新入生が当初20人弱とか入って来たっけな
ちょっと小規模のビッグバンドぐらいなら組めそうな人数。
で、その後俺とMちゃんの引退ライブがあって、俺はジャズを離れた。
文化祭の最後のライブで、ムリヤり「Take the A train」「メキシカンフライヤー」
「sing sing sing」をやったのは良い思い出だ。
その後、部活はクロくんとカカシに任せる事にした。
「えーリーダーは嫌ですよ」
とクロくんは文句たらたらだったが、俺は任せて良かったと思っている。
「あ、先輩」
「おー。久しぶりだね」
文化祭へ足を運ぶと、クロくんと草食くんに出会った。
クロくんと草食くんも高校を卒業して大学生になっていた。
この二人、同じ大学にすすんだあげく同じ音楽サークルに入って今も楽しくバンドを続けているらしい。
初代グミジャズのメンバーは、既に全員が卒業。
それぞれが新しい生活を送っていた。
文化祭は俺が高校生のころの雰囲気とまったく変わってなかった。
みんな手作りのTシャツを着て、慌ただしく動き回っている。
「JKってスカートこんな短かったんだね」
「今思うと恥ずかしいね」
短いスカートをつい目で追ってしまう自分に気づいて、
ちょっと俺も年をとったかな。なんてクソ生意気なことを考えていた。
未だに昔あの短いスカートと生活していたなんて信じられん
もう戻れない時間って残酷ね
会場につくと、すでに一本目のライブが終わっていた。
グミジャズは俺の引退ライブの年から、教室を一つ借り切って
「ジャズ喫茶」をやるのがお約束となっていた。
とは言っても、やっすいジュースをさらに安い値段で客に売って、
そのお客さんの前でパフォーマンスをする、という簡単なものだったんだけど。
ライブは二日間通しで行われる。
つまり二日目の最後のライブが、三年生の引退ライブとなる。
「あ、ども」
「あ、お久しぶりです」
挨拶がお互いによそよそしくて笑ってしまった。
今日引退する三年生。俺が三年だったときの一年生が、その日引退することになっていた。
あー、これ終わったら俺、よく知らないOBさんになっちゃうなあ
と、差し入れのアイスバーの残りを食べながら考えていた。
文化祭も終わりに近づき、いよいよジャズ喫茶のライブも終盤に差し掛かっていた。
グミジャズは俺が引退した時よりさらに増え
もう普通のビッグバンドが組めるようになっていた。
が、やる曲には相変わらずスカパラがちょくちょく混ざっていた。
(これはたぶんクロくんの代の影響だろう)
歴史も伝統も、ちゃんとしたノウハウもさっぱり残せなかった俺。後輩はすごい。超凄い。偉い。
目の前では、いつもクールだったペットの男の子が、涙をぼろぼろ流しながらソロを吹いていた。
最後の高音が頭をカチ割るような改心の一撃で、うっかりこっちまで泣いてしまった。
ライブが終わった後、やっぱり記念写真を撮っていた。
全員顔がくしゃくしゃで、でも最高に良い表情をしていた。
部活を作ってほんとによかったと思った。
で、すこし前の自分を思い出して、少し寂しいような
なつかしいような、そんな感覚になった。若いねー 青いねー
今では、当時のメンバーで集まる事はほとんどない。
文化祭の時に聞いたが、あの古文の恋愛マスターのおばちゃん先生は
俺が卒業した後も顧問をずっと引き受けてくれていた。
その先生も、今年いっぱいで離任されるらしい。
「あたしは、音楽のこともさっぱりわからないし」
「ただ、あなたたちのサポートしかできないから」
「グミくんが作った部は、ここまで大きくなった。
 よくぞここまで、って感じね。あ、あくまで生徒達のおかげよ」
そういって、いつもの笑顔で笑っていた。
今年、グミジャズは晴れて「同好会」から「部活」へと昇進するらしい。
今となっては、俺や、Mちゃんや、メガネ子や、みき先輩の面影なんて全然これっぽっちもない。
でも、あの定期ライブの時に俺が思った
「ビッグバンドの楽しさ、素晴らしさ、感動を伝えたい」という願い、
そして何より「家族みたいな仲間と、一緒に青春したい!」という思いは
後輩が育ててくれた「ジャズバンド部」に生きている、と思う。
この話を書いている時、現役の後輩からmixiを伝って「特定しますた」メッセージが届いた。
「うわ!勝手にネタにしてほんとごめん」
「いやいや。ジャズバンド部作ってくれて感謝してるんです 」
「作ってくれてありがとうございました! 」
後日談おわり。